■下品さで隠れている部分を見ることは、見識を深めるところに通じているように思えますね


■オススメ度

 

おバカで下品なミュージカルに興味がある人(★★★)

 


■公式予告編(日本語版のみURLコピペしてね)

https://youtu.be/PhGAbIXh8_Y?si=OkJQMNn1alA2dZDl

鑑賞日:2025.1.23(MOVIX京都)


■映画情報

 

原題:Dicks: The Musical(男性器のミュージカル)

情報:2023年、アメリカ、86分、G

ジャンル:一卵性双生児の再会によって巻き起こる騒動を描いたコメディミュージカル

 

監督:ラリー・チャールズ

脚本:アーロン・ジャクソン&ジョシュ・シャープ

原作:ジョシュ・シャープ&アーロン・ジャクソン『Fucking Identical Twins』

 

キャスト:

ジョシュ・シャープ/Josh Sharp(クレイグ/Craig:ニューヨークのトップセールスマン)

アーロン・ジャクソン/Aaron Jackson(トレヴァー/Trevor:クレイグと初対面を果たす一卵性双生児の兄弟)

 

ネイサン・レーン/Nathan Lane(ハリス/Harris:クレイグとトレヴァーの離婚した父)

メーガン・ムラーリー/Megan Mullally(エヴェリン/Evelyn:クレイグとトレヴァーの離婚した母)

 

Bowen Yang(神)

 

Megan Thee Stallion(グロリア/Gloria:新会社の上司)

 

Tom Kenny(バックパック/Backpack:ハリスが飼うクリーチャー、下水道ボーイズ)

Frank Todaro(ウィスパー/Whisper:ハリスが飼うクリーチャー、下水道ボーイズ)

 

Oscar Montoya(オスカー/Oscar:ゴミ回収業者)

Sonya Eddy(ソーニャ/Sonya:アパートの住人の老女)

Blake Daniel(ブレイク/Blake:配達人)

Danielle Perez(ダニエル/Danielle:車椅子の住人)

 

Amy Jo Jackson(タミー/Tammy:教会のシスター)

Nick Offerman(スティーヴ・チェネイ/Steve Chaney:教会に来る男)

 

D’Arcy Carden(クレイグとトレヴァーの隣人)

 

Marius De Vries(ホテルの支配人)

Eric Ritter(クリーチャーを探す動物管理人)

Josephine Okujeni(レジ係)

Evan Shafran(カブの運転手)

 

Yolimar Lara(冒頭で双子と踊る金髪女性)

Desiree Alexandra Estrada(ブルネット/Brunette:冒頭で双子と踊る女性)

 

【Dancer】

Erik Mccombs Cavanaugh

Raymond Ejiofor

Jesse Kovarsky

Robert Vail

Jacob Warren

Jordan Clark

Mia DiLena

Chantelle Good

Casey Browyn Howes

Melissa Locke

Austin Dale Tyson

Carlena Britch

Sierra Fujita

Teya Wild

Ryley Eamon Polak

Nick Baga

 


■映画の舞台

 

アメリカ:ニューヨーク

 

ロケ地:

アメリカ:カリフォルニア州

ロサンゼルス


■簡単なあらすじ

 

一卵性双生児のクレイグとトレヴァーは、生まれた瞬間から引き離され、お互いを知らずに育っていた

クレイグの面倒は父ハリスが見て、トレヴァーの面倒は母エヴェリンが見てきた

二人はニューヨークのとある販売会社のトップセールスマンで、どちらもが成績No.1を誇っていた

 

ある日のこと、二人の会社が合併して一緒になることになった

二人はともにトップであることに誇りを持っていて、それを譲らなかった

新しい会社のボスはグロリアという女性で、彼女はトップ以外は認めない人だった

 

二人は僅差で熾烈な争いとするものの、ある時に自分たちの出自が全く同じであることに気づいた

そこで、二人は両親を再婚させることができれば、兄弟になれるのではないかと考える

そして、秘密裏に会食をセッティングして、二人を合わせようと考えるのである

 

テーマ:欲しい温もり

裏テーマ:家族を超えた絆

 


■ひとこと感想

 

A24のミュージカルという話題が先行の作品で、かなり教育に悪い内容になっていました

タイトルの意味がわかる人なら「それ自体が放送禁止用語」とわかるのですが、ともかく最後まで「ピー!」の連続のような下ネタばかりが飛び交う映画になっていました

 

まあ、知ってて観たのでアレですが、予想以上に無茶な内容で、これがウケると思った製作陣のマインドの方が心配になってしまいます

アレが蝶々になって飛んでいくシーンとか、よくOKが出たなあと思ってしまいます

 

映画は、ミュージカルなので基本的に歌ってばっかりなのですが、口ずさめるほどキャッチーなものはなかったですね

字幕を追っているだけなので、曲調を楽しんだりする余裕はないのですが、内容があまりにもしょうもないので、完走するのが大変な映画だったように思えました

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

ネタバレというのがあるのかはわかりませんが、かなり斜め上の方向に着地したように思います

双子はともにゲイで、父親もゲイで、母親はアレが落ちたという設定になっています(おそらく閉経?)

それゆえに両親を元通りにするのに苦労するのですが、セックスがなくても愛は紡げるみたいなオチになっていたように感じました

 

とにかく下品なので、メモリーから早く消去したくなるのですが、1週間もすればほとんど忘れていそうなほどに印象が薄い作品でしたね

攻めているだろうけど、何を攻めているのかよくわからない感じで、LGBTQ+を揶揄していることはわかりますが、だから何?という感じにも思えます

 

ともかく悪ノリが好きで、ゲイ描写がOKな人向けではありますが、映画館で観ても字幕を追って終わりになってしまいますね

なので、配信などで字幕で一度見て「内容がないことを理解した」ら、字幕なしで通して観た方が良い感じに思えます

字幕以上に画面で語っている部分が多いので、いっそのこと吹き替え版があった方が良かったのかな、と思いました

 


下ネタを面白がる文化

 

本作は、ざっくりいうと下ネタのオンパレードで、さらにどキツイミュージカルナンバーが襲ってくる作品でした

当初は何を見せられているんだろうという感じでしたが、この下ネタを全面に出すという演出方法には意図があるように思えます

下ネタと言えば、小学生でもわかるレベルの笑いであり、それは万国共通のように思います

外国語の映画を観ていてもビジュアルで理解できるように、語彙が少ないとか、知識が少ない人にでも感覚的にわかるという役割があると言えます

 

映画では、「自意識過剰さ」「性愛」「家族制度」「宗教的な道徳」というものが背景にありますが、これらを真面目に訴えるとエンタメとしては弱くなってしまいます

そこで、敷居が低い下ネタで表現することで、神聖視されているテーマというものが身近に考えることができるという効能を生んでいます

笑いの中で突きつけられることと言うのは受け入れやすさがあって、それによって、普段遠ざけていたものも引き寄せて考えることができます

それは時として、綺麗な表現から遠ざかるほどに純度が増すとも言えるでしょう

 

この俗物的な展開の中において、クレイグとトレヴァーは「家族の再生」と言うものを試みていました

そこには、自分たちは元は一つのピースだったと言う思考があって、それは「失われていた自分」と言う錯覚を持っています

でも、映画内で起こることはそれらを固定観念だと笑い、それぞれは個々で貴重な存在であると訴えていくことになります

 

映画では、下ネタと言う装飾の中で展開されていきますが、実際にはクレイグとトレヴァーが自身の中にあった呪縛を自らの力で解き放つ様子を観ていくことになるのですね

それが、観客の中にある概念とか、悩みなどを擬似的に解消する役割を担っていたように感じました

 


結局のところ愛とは何か

 

クレイグとトレヴァーは別々に育てられた双子だったのですが、彼らが望んだのは「家族の再生」であると同時に、自分がもし違う環境で育ったどのような人間になっていたか、と言うことを知る旅でもあったように思います

お互いの生活の中に自分を放り込むことで、相手が受けてきた愛情を感じるのですが、それと同時に自分が受けてきた愛情の質というものを知ることになります

お互いの人生を合わせ鏡のようにして、両親が一緒なら「二人の愛を合わせたものを受け取れていたかも」と考えているようにも思います

でも、実際にはそんな単純なものではなく、両親の存在によって「得られたはずのものが得られなかった」ということも起きていると考えられます

 

愛情は環境によって芽吹きを変え、成長する方向を示していきます

片親であることで不幸に思えてしまうのは、一般的な家庭の子どもが受けてきたであろう両親の愛情というものを過大評価している部分があると言えます

そういった観点からすると、理想に思えるものは更なる理想を渇望するのですが、実際にはそんなことは起こらないのですね

それは、片親だからこそ生まれる親の責任感というものがあって、そういった細やかなものは、やがて大きな相違へと育っていくと考えられます

 

それでも、彼らの入れ替わりに意味がないとは思いません

それは、自分のスケールで観てきた普通というものがいかに貴重なものかを知る機会となっていて、それ自体が自分に注がれてきた愛情の深さを担保するに至ります

そうした考えに行き着くかどうかは個々の問題ではありますが、自分の幸せの偉大さを感じるというところに達していれば、それぞれの親の育て方とか、愛情というものは間違っていなかったと言えるのでしょう

映画では、双方がその地点に到達していると思うので、それぞれは良き親に育てられた、と言えるのだと思います

 

愛情というものは、いろんな概念と同じように状況や立ち位置で変化するものかもしれません

入れ替わることによって、もしかしたら「愛情の受け止め方」が変わっていた可能性もあります

それでも、彼らが自分の人生を肯定できるのは、彼ら自身が愛情深く、思いやりを持っているからだと思います

そうした根幹があるからこそ、両親を再び結びつけ、家族の再生を図ろうと考えたようにも思えました

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

本作は、下品な表現が苦手な人には辛い作品で、私自身は苦手な部類の作品でした

下ネタが嫌いと言うわけではないのですが、この内容で笑っていて良いのか?と思ってしまったりするのですね

個人的な話をすると、両親は様々な不和の上で離婚しているし、片親で育った苦労と言うものもありました

今回のケースのように、兄弟が別の親元で育って再会しても、家族の再生を考えたりはしないと思います

 

とは言うものの、観ている間はそこまでハメを外すのか?と思う部分もあり、その根底には「これで笑っている自分は馬鹿ではないか?」と感じてしまう部分がるからのように思えます

そこには笑いと言うものに対するこだわりのようなものがあって、知的な揺らぎを笑いに変えることに意味を求めているからだと言えます

言葉というものは面白いもので、同じことを表現するとしても多彩な方法があり、特に日本語では繊細な言い換えが無限にあって、それが知的好奇心を刺激する部分があります

本ブログでもそう言った部分を意識していて、ストレートな表現を避けつつも、読み手の創造性と能力を信じた表現を使っているところが多いと思います

 

そう言った嗜好があると、あまりにも直接的な表現と言うのは工夫がないと思ってしまいがちなのでしょう

この辺りは内省すべき部分であると思いますが、趣味趣向の部分ではフィットしないことは素直な感想なので、もっと違った表現で本作のテーマを深掘りする映画の方が自分好みなのかもしれません

 

映画では、最終的に両親は再婚しないのですが、これは興味深い帰結でしたね

子どもからすれば、両親の不和の解消は大きなテーマなのですが、親側からするとそうでもないのですね

それぞれが自分の人生を生きる中で、必要な時もあれば厄介な時もある

家族と言うのは、ケースを問わずに結束を求められる傾向がありますが、それが呪いとなる場合が多いでしょう

映画では、クレイグとトレヴァーが愛を育むと言うエンドに向かいますが、これは壮大な家族に対するアンチテーゼなのでしょう

人はあれこれ理想を言っても、最終的には自分の欲望に正直になる

そういった部分を強調して終わっていると思うので、やはり「やりすぎ」なんだよなあと思ってしまいます

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://eiga.com/movie/102747/review/04696603/

 

公式HP:

https://transformer.co.jp/m/dicksthemusical/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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