■情報収集の精度は、検索回数に比例し、直感的な情報整理パターン認知によって、劇的に向上します


■オススメ度

 

ワンシチュエーションスリラーが好きな人(★★★)

PC画面で完結する映像体験に興味がある人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日2023.4.14MOVIX京都


■映画情報

 

原題Missing

情報2023年、アメリカ、111分、PG12

ジャンル:行方不明になった母を探すために、あらゆるPCスキルを使う娘を描いたワンシチュエーションスリラー映画

 

監督&脚本ウィル・メリック&ニック・ジョンソン

 

キャスト:

ストーム・リード/Storm Reid(ジューン・アレン:行方不明の母を捜索する娘

 (幼少期:Ava Zaria Lee

ヨアキム・デ・アルメイダ/Joaquim de Almeida(ハビ/ハビエル:コロンビア在住でジューンに協力する男性)

 

Tim Griffin(ジェームズ:ジューンの父)

ニア・ロング/Nia Long(グレース・アレン:行方不明になるジューンの母)

ケン・レオン/Ken Leung(ケヴィン:リン:グレースの恋人)

 

エイミー・ランデッガー/Amy Landecker(ヘザー・ダモレ:グレースの友人、弁護士)

Megan Suri(ヴィーナ:ジューンの友人)

 

Daniel Henney(イライジャ・パーク:ジューンに接触するFBI捜査官)

Tracy Vilar(ルシアナ・ゴメス:記者会見をするFBI捜査官)

 

Michael Segovia(エンジェル:時計を売りたいジューンの同級生)

 

Lauren B. Mosley(バニーガール/レイチェル・ペイジ:ケヴィンとの関係を噂される女優志望の女)

 

【ほぼ登場順】

Sean O’Bryan(ラジオのホスト)

Kimberly Cheng(現地レポーター)

Lisa Yamada(アリソン:ジューンの友人)

Sharar Ali-Speakes(ティア:ジューンの友人)

Jameel Shivji(カティク:ジューンの友人)

Rick Chambers(朝のテレビ番組の司会者)

Viviana Salinas(コロンビアのニュースアンカー)

Juan Carlos Goméz Ortega(インタビュー受けるコロンビアの若者)

Briana McLean(アビゲイル・ニールソン:SNSのインフルエンサー)

Monica Bhatnagar(CBSNのインタビュアー)

Roy Abramsohn(ジェイソン・カプラン: CNNのニュースアンカー)

Danielle Nottingham(エリカ・ジョーンズ: CNNのニュースアンカー)

Thomas Barbusca(YouTuber)

Esteban Dager(YouTuber)

Karina Noelle Castillo(SWATの女性リーダー)

Jasmin Savoy Brown(メイクする女)

 


■映画の舞台

 

アメリカ:カリフォルニア州

ロサンゼルス

 

コロンビア:カタルヘナ

https://maps.app.goo.gl/Uhx4FNbCHx4kNsTs7?g_st=ic

 

ロケ地:

上記と同じ

 


■簡単なあらすじ

 

LA在住の高校生のジューンは、母グレースと二人暮らしをしていた

母には恋人のケヴィンがいて、コロンビア旅行を計画していた

 

旅行を終えて、ジューンが約束の時間に迎えに行くものの、一向に母が帰ってくる様子がない

連絡も取れずにいたジューンは捜索を開始し、事件化してFBIも動き始める

 

コロンビアの大使館経由で情報を得ようとするものの、一向に生きた情報は得られないのである

そこでジューンは、PCを駆使して、2人のグーグルアカウントに侵入して、ロケーション履歴を追うことになったのである

 

テーマ:娘を愛する母の執念

裏テーマ:グーグルは便利だけど危険

 


■ひとこと感想

 

前作『Search』の無茶な感じが好きで、その続編ということで早くから参戦を決定

とは言うものの、今回は「PC画面で完結する」と言う設定だけが同じで、話のつながりは一切ありません

 

映画は、ネットワークに詳しくないとネタバレが意味わからない感じで、字幕版だときちんと「これがネタバレですよ」と親切設計になっていました

それでも、そこに出てくるアプリ名があからさま過ぎるので、イージーモードのサスペンスになっていました

それにしても、グーグルって何でもありなんだなあと思いましたね

 

自分が使う分には良いのですが、今回みたいになりすまされると何でも筒抜けで怖いものがあります

2段階認証を導入しているとセキュリティはマシになりますが、それでも防げない領域はあるのかなと思いました

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

母のアカウントのパスワードがわからず、恋人の方を突破するのですが、この手際が良すぎて苦笑してしまいます

グーグルアカウント(GMail)を使い回しているので、そこさえ突破すればOKみたいなところは凄まじいですね

ケヴィンが2段階認証(あるいはSNS認証)を導入していたら終わっていたと思います

 

映画は、ケヴィンと刑務所時代に知り合ったジューンの父ジェームズがウーバードライバーに扮して作戦を決行

その際に、いつの間にかジューンのPCのネットワーク設定をいじっていたことになります

いわゆるリモート操作が可能にして常時監視していたのですが、それによってこちらの動きがすべて筒抜けになっていました

 

FBIを足止めさせて、ジューン単独で動かす必要があって、そのあたりの設定はうまく行っていましたね

ジェームズの誤算は現地のおっさん・ハビが親身になって協力したことで、彼を始末する方向に行かなかったのは不思議でなりません

それでも、さすがに現実離れしている感じがして、便利すぎるアプリが続々と登場し、それらのパスワードをあっさりと作りなおせる仕様には笑ってしまいました

 


遠隔でPCを使うことのリスク

 

映画の後半にて、ジューンが使っていたパソコンが父ジェームズによって遠隔操作されていたことがわかります

このシーンは「リモートデスクトップ」などの経験がある方は理解できますが、まったく知らない人だと何が起こっているかわからないように思えました

リモートデスクトップはコロナ禍のリモート作業で普及し、その中でも簡単なのが「画面転送型(Windows10から掲載のアプリ)」であると言えます

詳しい手順は省略しますが、リモート先のPCにリモート元の操作の権限を与えるというもので、それによって「リモート元のPCの画面」をリモート先のPCに転送させることができます

インターネット回線を通じて、リモート元のPCを操作するので、インターネットの回線の速度や混雑具合に左右されますし、セキュリティ面の不安は付きまといます

 

これを少しだけ緩和させることができるのが「VPN接続」というもので、インターネットの回線の中に「専用の回線を作る」ということになります

通信のデータが暗号化されているので、情報を盗まれるリスクを抑えることができます

このVPN(Virtual Private Network)は、特定のユーザーだけが使える回線を作り、その中で安全な通信を行うために使われます

VPNは、既存のネットワークの中に「トンエリング・プロトコル」を使用して、「仮想のPoint to Pointの接続」を確立させます

なので、リモート元とリモート先をプライベートネットワークで繋ぐ必要があります

これに使用されたのが「Cyber Ghost VPN(映画の中に登場するソフト」で、ジューンのPCの画面を「Sterth Viewer」というソフトで監視していました

 

ちなみに「Cyber Ghost VPN」は実在するサービスで、91カ国以上のリストからサーバーを選択できて、多くの国での安全な通信をすることができます

ジェームズはコロンビアにいる(最終的にはカリフォルニアのマリポーサに移動)ので、コロンビアとLAのPCをリモートさせるために、それをカバーしているVPNサービスを使用していたと考えられます

VPN自体は「安全な通信をするために導入されるもの」なので、PCに入っていても怪しまれませんし、その通信先を探るというところまで知恵が回る人はいないように思いました

 

「Sterth Viewer」に関しては映画オリジナルのようで、これは「PC画面ミラーリング」のアプリケーションになると思います

有名なのは「LetsView」などのソフトで、リモートさせる二つのパソコンに同じアプリケーションを入れて、それを介して「ミラーリングコード」を発行し、もう一つのPCに権限を与えるというものです

おそらくは、VPNでコロンビアと安全な(FBIに感知されないという意味の)接続を確立させ、ミラーリングソフトで監視&遠隔を行なっていたのだと推測されます

 

通信の独立性を求めたのはFBIの監視から逃れるためでしょうし、ケヴィンと刑務所仲間だったジェームズは、彼を使ってジューン(おそらく母グレースのパソコン)にアプリをダウンロードさせたのだと思います

そして、ミラーリングコードを発行して、それによって遠隔操作と監視を行い、コロンビアに来るスケジュールを把握して、その後のキーパーソンとなる娘の行動を監視することにしたのでしょう

遠隔操作はスマホでも可能ですが、利便性を考えるとノートPCが良くて、映画でもジェームズの家(ジューンの生家)にはノートPCがあり、そのデスクトップはジューンの使用するパソコンとまったく同じになっていました

 

このような遠隔操作は「自分が知らないソフトがいつの間にかダウンロードされている」という時に見つけることが多いのですね

でも、映画のPCはおそらくは母親のもので、それは冒頭の「削除シーン(証人保護プログラムによる交友関係の断絶と各種アカウントの削除のシーン)」と、後半に「ジューンが父と自分のツーショット切り抜き写真を見つける」というシーンの「ジューンフォルダ」の存在によって示されていました

なので、ジューンもそのPCを共有して使っていた可能性はありますが、そこでインストールされているものが「母以外の第三者によるもの」と考えるのは難しかったと思います

 


証人保護プログラムあれこれ

 

映画の後半にて、「ジェームズの逮捕のためにグレースが証言をしたこと」が暴露され、それによってグレースとジューンが証人保護プログラムの対象になっていたことが判明します

グレースの元の名前は「サラ」で、ジューンは幼かったために名前が変わっていないように思えます

米国連邦証人保護プログラム(WPP)とは、アメリカの司法省によって管理されているもので、今回のような一般人の場合もあれば、刑務所内にいる囚人ということもあります

証言者の安全を守る観点で身辺保護を行うもので、元々はマフィアのお礼参りから証言者を守るために設定されました

該当者は「裁判期間及び生涯にわたって保護される」というもので、パスポート、社会保障番号、運転免許などあらゆる公的なものが新しく交付されます

 

これによって、グレースとジューンは安全圏にいるはずでしたが、なぜかジェームズにバレてしまっているのですね

この理由は映画内でははっきりと示されておらず、可能性が高いのが「刑務所内で仲良くなったケヴィンのSNSにグレースがいた」というものだと思います

証人保護プログラムで保護されている個人を見つけ出すことは容易ではなく、近年でもSNSにアップロードされた写真に写り込んでいたというような「偶然の産物」でもないと難しいのですね

それほどまでに証人保護プログラムの運用は厳格に行われています

 

ちなみにジェームズが隠れ家に使っていた場所はマリポーサというところで、ロサンゼルスと同じカリフォルニア州の街になります

直線距離で300マイル(約500キロ)なので、証人保護プログラムによる引越しとしては近すぎる印象がありますね

この距離感は「東京−京都間」ぐらいの距離で、普通なら探せないとは思うのですが、偶然の一致とは怖いものだなあと思わせてくれます

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

本作は、PC画面上で全てが完結というもので、この見せ方というものが前作よりもうまくなっていました

ジューンが見ているのが「ネトフリドラマ」で、会話はFaceTime、アプリを駆使して入金、送金を行い、現地のサービス代行を雇い入れて、その通信にWhatAppを使用します

お金が欲しくなったら、オークションサイトでモノを売ったり、直接交渉ができるし、欲しいものもネットショッピングで買えたりします

 

ジューンが移動する際は「PC画面上に監視カメラ映像」を付随させていて、マリポーサまでは車で7時間という絶妙な距離感でリアリティを出していきます

解決のヒントになったのが出会い系アプリだったり、グーグルロケーション履歴だったりと今っぽさが全開ですが、この手のアプリを使用したことがないと、「こんなことができるのか?」と疑問に持つこともあるかもしれません

個人的には代替のサービスを使ったことがあるので違和感がなく、使用したことがないのは「外国人のサービス代行」くらいでしょうか

でも、ハビとのやり取りで「グーグル翻訳」を使うあたりが今風で、これに関しては「救急で外国人が来る時」に使用したことがあります

 

このブログを書く際に様々なツールを利用して情報を引き出しているのですが、一番重宝するのはグーグル翻訳なのですね

また、Chromeの翻訳機能も重要で、英語圏以外の検索を行うときに「現地語の原題」と「グーグル翻訳した単語(例えば、脚本=Script=scénario(フランス語)=სცენარი(ジョージア語)」のように検索窓に入れます

ジョージア語だと「ジョージア語のサイトが検索で表示される(検索結果の設定をいじる必要ありますが、何回も同じことをしていると勝手に判別してくれます)」ので、この検索表示リストの段階で「Chromeで翻訳をかける」と概要が日本語訳されたりします

概要や記事のタイトルから必要なものを選出して、サイトを来訪し、そこで翻訳をかけることも可能で、部分的に翻訳をすることも可能です

 

この手の手法は使えば使うほどに慣れてきて、言語が違ってもブログなどの記事構成はよく似ているので、どこに何が書いてあるかがわかってくるのですね

そうした経験値を踏むと、英語のWikiのページの中から必要な情報の位置を割り出して、ピンポイントに翻訳をかけることも可能です

また、どうしても翻訳をかけられない時は、グーグルレンズの翻訳やテキスト抽出を使って、2段階で行うことも可能なので、このブログのような多言語の情報を日本語にまとめていく、ということも容易になってくるのですね

皆さんも英語圏以外のマイナーな映画の原題を見つけ出して、そこからコピペ&検索&翻訳などを駆使してみると、なんとなくイメージが湧くと思いますよ

 


■関連リンク

Yahoo!映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://movies.yahoo.co.jp/movie/387362/review/266e2187-4e42-489b-9916-3caf519dc7de/

 

公式HP:

https://www.search-movie.jp/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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