■基本設定大幅変更とか、気にしたら負けの映画でしたね
Contents
■オススメ度
悪趣味なスプラッターホラーが好きな人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2024.8.14(T・JOY京都)
■映画情報
原題:Winnie-the-Pooh: Blood and Honey 2(くまのプーさん:血と蜂蜜2)
情報:2024年、イギリス、93分、R15+
ジャンル:捨てられた恨みを晴らすくまのプーさんたちを描いたスプラッタホラー
監督:リース・フレイク=ウォーターフィールド
脚本:マット・レスリー
原案:A・A・ミルン『くまのプーさん』
前作『プー あくまのくまさん』
Amazon Link(字幕版)→ https://amzn.to/3YKMMMK
キャスト:
スコット・チェンバース/Scott Chambers(クリス/クリストファー・ロビン/Christopher Robin:プーさんを捨てた少年→アッシュダウンの医師)
(幼少期:Mason Stanley Gold)
ライアン・オリヴァ/Ryan Oliva(くまのプーさん/Winnie-The-Pooh:クリスに捨てられたくまさん)
(幼少期:Peter DeSouza-Feighoney)
Lewis Santer(ティガー/Tigger:プーさんの仲間、擬人化されたトラ)
Eddy MacKenzie(ピグレット/Piglet:プーさんの仲間、擬人化されたブタ)
Marcus Massey(オウル/Owl:プーさんの仲間、擬人化されたフクロウ)
Tallulah Evans(レクシー/Lexy:クリスの幼馴染、ベビーシッター)
(幼少期:Soma Zimmatore)
Flynn Matthews(フィン/Finn:クリスの幼馴染)
(幼少期:Phoenix James)
Thea Evans(エラ/バニー/Bunny:クリスの妹)
Alec Newman(アラン/Alan:クリスの父)
Nicola Wright(ダフネ/Daphne:クリスの母)
サイモン・キャロウ/Simon Callow(キャベンディッシュ/Cavendish:病院の清掃員、アルコール依存症の男)
エディ・マッケンジー/Eddy MacKenzie(ギャラップ博士/Dr Gallup:遺伝子実験をする科学者)
(声:Toby Wynn-Davies)
テレサ・バンハム/Teresa Banham(メアリー・ダーリング/Mary Darling:クリスのセラピスト)
フィン・グレイ/Flynn Gray(フレディ/Freddie:レクシーのシッター対象の子ども)
Tade Adebajo(アヴァ/Ava:クリスの旧友)
(幼少期:Amira Nicole Thomas)
Nichaela Farrell(カーラ/Cara:クリスの旧友、レイヴパーティーの主催者)
(幼少期:Kalixta Kairos Fosang-Olarinmoye)
Sam Barrett(アーロン/Aaron:クリスの幼馴染)
(幼少期:William Dallaway)
Thanael Weeks(シェップ/Shepard:アーロンの友人)
Joshua Osei(ダレル/Darrell:アーロンの友人)
Kelly Rian Sanson(ミア/Mia:プーさんの被害者、冒頭)
Lila Lasso(ジェイミー/Jamie:プーさんの被害者、冒頭)
Tosin Thompson(アリス/Alice:プーさんの被害者、冒頭)
Ash Tandon(コリンズ/Dr. Collins:クリスの上司、アッシュダウン病院の医師)
Jamie Robertson(ドートリー/Officer Daughtry:警官)
William Temple(マーロウ/Officer Marlow:警官)
Philip Philmar(ギルブレイク/Officer Gilbraith:警官、フレディの祖父)
Jay Robertson(デイカー/Police Officer Dacre:警官)
Tim Austin(モーガン/Police Officer Morgan:警官)
David Olapoju(マクスウェル/Police Officer Maxwell:警官)
Evyn George(ウィリアムズ/Officer Williams:警官)
Andrew Rolfe(ジェイコブ/Jacob:プーさんの被害者、バードウォッチャー)
Lucas Allermann(ルーク/Luke:ジェイコブの父)
Junior Wunna(アレックス:お尻に注射される患者)
Charlotte Jackson Coleman(ルビー:アレックスの付き添い)
Chrissie Wunna(看護師/レイバー)
【レイブパーティー参加者】
Connor Powles(兄弟のレイバー)
Joshua Barlow(兄弟のレイバー)
Karolina Ugrenyuk(バニー姿のレイバー)
Alina Desmond(オペラの格好をしたレイバー)
Becca Hirani(宗教の格好をしたレイバー)
Jenny Miller(ジェイド:蛍光ビッチの格好をしたレイバー)
Mickyla Victoria Grech(松葉杖をついたレイバー)
Natasha Tosini(蜘蛛の巣のレイバー)
Preston James(パパ活女子の格好をしたレイバー)
Rachel Daphne Oneale(羽根がついたレイバー)
■映画の舞台
イギリス:
アッシュダウン
ロケ地:
イギリス:
Ashdown Forest
https://maps.app.goo.gl/VTKCeKCJRje8cPLr6?g_st=ic
■簡単なあらすじ
前作にて、凶暴化したプーさんから逃げ延びたクリスだったが、あの惨劇は「プーさんのマスクを被ったクリスの仕業」だと思われていた
近しい親友はそれを否定するものの、アッシュダウンの人々は彼が犯人であると断罪していた
それによってクリスは職場を追われるものの、彼の勤めている病院に友人のアーロンが運ばれてきたところから事態は一変してしまう
アーロンは「クリスが正しかった」と言い、100エーカーの森にはまだモンスターが潜んでいるという
アーロンは友人のダレルの恋人が何者かに惨殺されたことで仕返しのために森に向かったのだが、そこでモンスターたちに遭遇してしまった
彼だけは運良く逃げることができたが、プーさんたちは追い込まれていて、反撃の機会を窺っていた
プーさんは、ティガー、オウル、ピグレットとともに森に近づく者を容赦なく殺してきたが、とうとう森を出て町人たちを襲い始めた
そして、その手がクリスの一家にも近づこうとしていたのである
テーマ:復讐の連鎖
裏テーマ:弱さを打ち砕く怒り
■ひとこと感想
前作『プー あくまのくまさん』が史上最低クラスの駄作だったのですが、なぜか続編を作る予算が出ることになり、まさかの続編の公開となりました
前作がどこまで酷かったのかは記憶にないくらいでしたが、本作は前作がなかったことになっている設定などもたくさんありましたね
このあたりは賛否両論になってしまうのかな、と思いました
映画は、とにかくスプラッターが観たいという変態向けの内容で、全編血みどろの展開になっています
殺し方も色々とあって、後半のレイヴ会場の惨殺劇はなかなか趣向が凝っているものになりました
それにしても、クリスへの恨みだけだったはずなのに、凄惨な過去があったのですね
版権フリーとは言え、とにかく振り切ったいじり方は強烈なものがあったように感じました
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
前作の記憶はほとんどないのですが、公園のようなところで殺し合いをしていたような印象だけが残っています
前作のことを忘れていても問題ない内容で、どちらかと言えば関連がほとんどないと言える内容だったと思います
ある科学者の実験のために拉致された弟ビリーが実はという展開を迎えますが、あまりにもベタすぎて笑ってしまいます
復讐する相手を間違っているし、なんでそうなるのかは意味不明ですが、とにかく引いてしまうぐらいに殺しまくっていました
スプラッターがダメな人は見ないと思いますが、かなりのゴア(人体破壊)表現が多いのと、結構しっかりと見せるので、映画の前には何も食べない方が良いと思います
あと、パンフレットは死ぬほどスッカスカでしたね
記念品に買う以外にはあまり意味がないかもしれません
■前作はどんなお話だったか?
前作『プー あくまのくまさん』は、クリストファー・ロビンが大学進学によって彼らを捨てたというところから始まります
プーたちは冬になって食べ物がなくなったため、仲間のイーヨーを食べてしまい、それによって野生へと戻っていまいました
それから5年後、クリストファーは婚約者のメアリーを連れて、100エーカーの森へと戻ります
そこは無人の野になっていましたが、ピグレットに待ち伏せをされてしまい、メアリーは殺されてしまいます
クリストファーはプーたちに捕まって、森の奥へと引き摺り込まれていきました
その後、大学生グループが100エーカーの森にやってきます
彼女らはストーカー体験から立ち直るセラピー目的でしたが、プーに見つかって殺されてしまいます
さらに夜になると、他のメンバーも惨殺されていき、という展開を迎えていました
原作のライセンスが切れたことで、実は凶暴だったという二次創作になっているのですが、その内容があまりにも陳腐だったために酷評の嵐となっていました
パブリックドメインになったが故に悪ノリをしているのですが、さすがにカルト的すぎて一般には受けなかったのですね
でも、続編が作られ、さらに第3弾の公開もされるなど、映画興行的には成功していて、スプラッターに振り切った結果が奏功しているように思えます
物語性は皆無で、プーさんがこんなことをしたらドン引きする、というものを狙って行っているので、良き思い出という記憶とのギャップにおける中毒性というものを生み出しているように思えました
誰もが考えたけど、それは公言できないというものを実現したというもので、容赦なく振り切っているところが受けているのかな、と感じました
■勝手にスクリプトドクター
本作は、前作にて起きた事件が映画化され、クリストファーが誹謗中傷されるという状況からスタートします
本当のことを知っているのは数人だけで、幼馴染のレクシーぐらいしか信じてはいませんでした
その後、社会的に孤立したクリストファーがかつて行方不明になった弟ビリーのことを思い出していきます
そんな中、キーパーソンとなる病院の清掃人キャベンディッシュと接触することになっていました
クリストファーの話は誰も信じていないはずなのに、行方不明になったり、殺された人の友人たちがハンターとして森に入っていきます
幼馴染の一人アーロンも友人のダレルの彼女が殺されたことで森に行くのですが、村は犯人がクリストファーだと思っているのなら、彼のもとに言って問いたださないのはおかしな流れになっていたように思います
その後、クリストファーはキャベンディッシュがビリーの誘拐に関与していたことを思い出し、彼を問い詰めると、キャベンディッシュは頼まれて運んだだけだと言われてしまいます
彼はある科学者の実験材料を調達していて、その材料としてビリーが無作為に選ばれていました
映画は、このビリーが遺伝子組み換えされたプーである、という流れになるのですが、後付け設定が凄すぎて意味がわからない展開になっていました
前作では、弟、幼馴染などの存在の匂わせもなく、婚約者を惨殺された森に戻るという展開もよくわかりません
冒頭に公開された映画で風評被害があって、それで職場を追われるという展開も不思議なもので、あの状況になってしまうなら、映画制作会社相手に訴えを起こすという流れになっても不思議ではありません
個人を特定できるような映画が作られて公開された、ということ自体にリアリティがないので、その仲間はずれ設定は不要のように思いました
クリストファーが森に戻る理由はいくつかありますが、婚約者惨殺から距離を置き、その引越し先で続く事件を知るというので十分だと思います
関わりたくないと思う一方で、被害の拡大が報道され、それによって思い悩んでいくというのも良いでしょう
村の病院で医療体制が崩壊しつつある、という状況によって手助けが必要で派遣される、という流れの方が自然で、その因果によって、クリストファーは落とし前を着けなければならなくなるという「巻き込まれ系」で描いた方がスッキリするように思えました
プーが実は行方不明のビリーだったというのはわからないでもないですが、前作では「捨てられた恨みから凶暴化した」というものだったので、別の映画を観ている気分になりますね
この捨てられたというものがクリストファーの思い込みだったという強引な設定もありますが、それよりは「捨てられたのは事実で、凶暴化の際にハイブリッド実験が行われた」という流れの方がしっくり来るように思います
前作と方向性がかなり違うので整合性を取ること自体が難しいのですが、もう少し論理的に繋げるということを行った方が、物語としては入り込みやすいと感じました
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
本作は、パブリックドメインになった古い物語の再構築で、悪趣味なスプラッター映画にするというテイストで作られています
前作時にまだ権利が切れていなかったキャラが今回登場しているのですが、今後もこのような流れで映画が作られるのは続くように思います
この手の作品をスプラッタホラーにするのは、原作とかけ離れていればいるほど、生粋のファンの神経を逆撫でしないのでしょう
明らかに二次創作だとわかるのと、原作のイメージを引き摺らないので、別物として観ることができると思います
もし、プーさんの映画を作るとして、プーさんとクリストファーの異種恋愛ものにしたらどうなるでしょうか
プーさんもクリストファーも同性愛者で、それに気づいてしまう、みたいな映画になると、さすがに反発がすごいと思うのですね
多様性が叫ばれる社会とは言え、元々存在するキャラクターの性質を変えてしまい、さらにリアルテイストに寄せてしまうと、プーさんでその映画を作るのはやめろと言われてしまいます
ポリコレ推奨とか、多様性を重んじるという表向きの意見があったとしても、原作にない要素を加味するだけで便乗だと思われてしまいます
演じる俳優がポリコレに配慮というだけで批判が起きるのですが、実際にはその配役だから炎上したというものではなかったりします
作品名は挙げませんが、ポリコレや多様性による改変によって、これまでの思い出を壊される人もいるわけで、そういった人たちへの配慮というものに欠ける場合があるのですね
それによって、神経を逆撫ですることになり、さらに悪循環を生むという展開になってしまいます
本作でも、このような反感は生まれると思うのですが、幸いにも「プーさんだと言われなければわからない」ぐらいに見た目が違うので、名前を借りただけの別作品に思えてしまいます
これが、めっちゃ愛くるしいぬいぐるみのような姿でミーガンのようなことが起こってしまうと、さすがに思い出を壊されたと思われかねません
なので、ここまで振り切ると、逆に反感を買いづらいのかな、と感じました
それでも文句を言う人は一定数はいるので、二次創作に関しては、オリジナルへのリスペクトを忘れず、それが映画から伝わればセーフなのかもしれません
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://eiga.com/movie/101705/review/04136040/
公式HP: