■ヒューマンエラーが重なったけど、設計した人のおかげで延焼が防げたそうですよ
Contents
■オススメ度
ノートルダム大聖堂炎上の経緯を知りたい人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2023.4.12(109シネマズ大阪エキスポシティ IMAXレーザーGT)
■映画情報
原題:Notre-Dame brule、英題:Norte-Dame on Fire
情報:2021年、フランス&イタリア、110分、G
ジャンル:2019年のノートルダム大聖堂炎上事件の消化活動を描いた伝記映画
監督:ジャン=ジャック・アノー
脚本:ジャン=ジャック・アノー&トーマス・ビデガン
キャスト:
サミュエル・ラバルト/Samuel Labarthe(ジャン・マリー・ゴンティエ/Jean-Marie Gontier:パリ消防局の准将、火災の総指揮)
ジャン=ポール・ボーデス/Jean-Paul Bordes(ガレ/Jean-Claude Gallet:パリ消防局の少将)
Dimitri Storoge(フランシス:隊長&大尉、「いばらの冠」回収班、モデルはフランク大尉)
Jérémie Laheurte(ジョエル:上級曹長)
Maximilien Seweryn(レイナル:フランシス隊の軍曹、作戦提案、モデルはレミ大尉)
Chloé Jouannet(マリエンヌ:上級伍長、第一突入隊の新人消防士)
Pierre Lottin(アレクサンドル:中尉、第一突入隊の新人消防士)
Jules Sadoughi(ジョルダン:曹長、第一突入隊の消防士)
Vassili Schneider(サンドロ:伍長、第一突入隊の消防士)
Ava Baya(マリー=アイ:消防士、工兵)
Nathan Gruffy(ビクター:消防士、工兵)
Sébastien Lalanne(マーカス・ポワレ・クレール:大尉、当直士官)
Bernard Gabay(ローランド:大佐)
Billel Sakhri(イブラハム:副官)
ミカエル・チリニアン/Mikaël Chirinian(ロラン・プラド/Laurent Prades:主任学芸員)
Ludivine de Chastenet(セリーヌ:現場に連れていかれる学芸員)
Pascal Rénéric(ノートルダムの学芸員、キュレーター)
Xavier Maly(チャーリー:ノートルダム大聖堂の首席司祭、モデルはパトリック・ショーベ/Patrick Chauvet)
Garlan Le Martelot(オーレリアン:ノートルダム大聖堂のゼネラルマネージャー)
Oumar Diolo(ムーメ:当日雇われた警備員)
Antonythasan Jesuthasan(ヨナス:ムーメの上司、警備責任者)
Chloé Chevallier (クロエ:礼拝堂に来る少女)
Élodie Navarre(クロエの母)
Tony Le Bacq(警官)
Miguel Facchiano(警官)
Anne Hidalgo(アンヌ・イダルゴ/Anne Hidalgo:パリ市長、本人役)
Pascal Rénéric(フランス外務省)
エマニュエル・マクロン/Emmanuel Jean-Michel Frédéric Macron(マクロン大統領、本人役、アーカイブ出演)
■映画の舞台
2019年4月15日
フランス:パリ
ノートルダム大聖堂
https://maps.app.goo.gl/JPMkQTfFB53qhoPR7?g_st=ic
ロケ地:
ノートルダム大聖堂周辺
■簡単なあらすじ
2019年4月15日、ノートルダム大聖堂の警備員として赴任したムーメは、警備主任のヨナスから一連の設備の説明を受けた
尖塔付近では工事が行われていたが、そのうちの1人の作業員が隠し持っていたタバコに火をつける
それは運悪く風に飛ばされ、塔の中の梁へと流れ込んだ
それから数十分後、警備室の警報が鳴り響き、ムーメは然るべき部署に報告を上げる
ヨナスは火災の指定場所に赴くものの出火は認められない
だが、大聖堂から煙が立ち上がるのを見た観光客は、SNSなどを駆使して情報を拡散、それがパリ消防局のゴンティエ准将の元にも届いた
消防司令センターには発報はなかったが、画像がフェイクとは思えず、一番近い隊に出動を命じる
だが、パリは観光客でごった返していて、消防車は思うように進めない
大聖堂には「いばらの冠」が展示されていて、首席司祭は「ひとつしか持って出られないなら、『いばらの冠』を」と消防隊に告げた
ゴンティエはフランシス隊に命じ、キューレーターのセリーヌを従えて炎の中へと突入する
だが、金庫の鍵は複雑な仕様になっていて、主任学芸員のロラン・プラドがいなければ開けられないことが判明する
ロランはニュースを見て一目散に大聖堂を目指すものの、交通渋滞や通行規制などで思うように現地に戻れないのである
テーマ:石よりも尊い人命
裏テーマ:奇跡と試練
■ひとこと感想
ニュースで見たことはありますが、実際にどうなったのかは全く知らない状態で鑑賞
当週の頭に『パリタクシー』を観たために、「炎上後の大聖堂の姿」が目に焼き付いていました
IMAXカメラで撮影されたとのことで、IMAX上映を探していたら、大阪エキスポシティにしかねえ!という状況で、やむを得ず特攻して参りました
IMAXレーザーGTがある映画館なので、『TENET』以来の参戦
関係ないけど、ガンダムがいなくなっていましたね
映画は、ほぼドキュメンタリーで、映画的な演出もちらほら
でも、「アヴェマリア」合唱は本当にあったことのようで、でも野次馬が集まったから消化活動が遅れたんだよね、と複雑な心境になりました
試練を自分たちで作ってどうするんだとツッコミたくなったのは本当の話です
映像は、もう火災現場にいるかのような臨場感で、時折入るアーカイブとの画質の差がえらいことになっていました
マカロン揺動作戦にはニヤリとしてしまいましたが、本当に邪魔なんですよねパフィーマンス気取りの政治家
また、市長が本人役で演技をしていたのもツボでした
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
フランスの消防隊の仕組みを知らなかったので、准将とか大佐とかが出てきて、「え? 軍隊なの?」とちょっと混乱してしまいました
ググったところ、フランス陸軍に所属する「消防工兵部隊」とのことで、フランス国家憲兵隊と同様の立場にあるそうです
主人公にあたるゴンティエ准将はパリ消防隊のトップで、次いで大佐、中佐、少佐と続いていきます
マクロン包囲網を敷いたのはガレ少尉(どうやらゴンティエ准将の上司らしい)、ラストの作戦を立案したのはレイナン軍曹なので、いわゆる下士官の一番下の位になります
なので、消防隊の一番下の位の隊員の作戦で消防隊が動いたということになるので、結構凄いことが起こっていたことになりますね
映画は、少女クロエの蝋燭だけが燃え続けていたという演出があった以外は、おおむね事実なんだと思います
実際にはタバコの吸い殻が7本も見つかったそうで、日頃から管理体制が甘かった人災であるというのは明白でしょう
謎だったのは何度も登場した猫おばあちゃん
結局、猫はどうなったのかは描いて欲しかったですねえ
■パリの消防隊あれこれ
パリの消防旅団(Paris Fire Brigade、Brigade des sapeur-pompiers de Paris=BSPP)は、パリ市およびその郊外を管轄するフランス陸軍の部隊のことを言います
救助、捜索活動、消火、緊急医療に従事しています
フランスにはもう一つの消防団があって、それがマルセイユ海軍消防大隊(Bataillon de marins-pompier de Marseille=BMPM)で、こちらはフランス「海軍」の所属にあたります
映画の途中でゴンティエ准将が「マルセイユに応援要請をするシーン」がありました
パリ消防旅団は、1793年に「Corps des gardes-Pompes de la ville de Paris」として設立され、1810年のオーストリア大使館の火災のあと、ナポレオン皇帝の勅令により軍事組織となっています
フランス国籍を有する18歳から25歳の男女を対象とした選抜が行われ、犯罪歴があるとダメ
職業訓練のCAP証明書を有する人物が対象となります
トレーニングが2ヶ月、その後「Compagnie d’instruction(=消防に特化した会社のこと)」が4ヶ月で、ここで実践的な訓練を受けることになります
さらに2ヶ月間の「パーソナルアシスタントとユーティリティの講習」があって、それを修了すると消防団に参加することになります
フランスの消防旅団の階級はパリ消防旅団は陸軍なので、その階級も軍隊に則ったものになります
士官(将官)として、「元帥」「大将」「中将」「少将」「准将」
士官(佐官)として、「大佐」「中佐」「少佐」
士官(尉官)として、「大尉」「特級中尉」「1等中尉」「2等中尉」「少尉」
一般兵士として、「准尉(准士官)」
下士官として、「曹長」「軍曹」
士卒として、「伍長」「1等消防士」「2等消防士」の順になります
ちなみに、ゴンティエは准将なので将官になりますね
彼と話していたガレ少将はゴンティエの上役で、彼がマクロン大統領を引きつける役を担っていました
また、ラストの作戦を立案したレイナルは下士官の軍曹にあたりますので、それを採択したというのはすごいことだと思います
映画では、フランシス隊長とレイナン軍曹にはモデルがいて、パンフレットにインタビュー記事があります
■ノートルダム大聖堂火災のあれこれ
火災が起きたのは「2019年4月15日」で、この火災によって、尖塔が崩壊し、大聖堂の屋根の部分は焼け落ち、上壁部分にも損傷が及んでいます
消火に至ったのは火災発生から15時間後のこと、完全修復には最大40年かかるとされています
ノートルダム大聖堂は石造りの建物で、屋根と尖塔の部分に木材が使われていました
尖塔自体が腐食していて、火災当時はその修復作業が行われていました
時間の経緯としては、18時18分に火災が発生
18:20分に火災報知器が鳴りましたが、現場確認の際に場所を間違ったのは事実ですね
その後、様々な地域から消防が集結し、400人もの消防士が従事したとされています
鉛が溶けていましたが、あれはステンドグラスの窓の繋ぎ合わせていたものです
尖塔が修復作業中だったこともあり、そこに本来あったはずの絵画などは事前に移されていたそうです
映画に登場した鐘は損傷を受けておらず、聖遺物の多くは火が回らなかった聖具室に保管されていました
ラスト近辺で市民が集まって「アヴェ・マリア」を歌うシーンがありましたが、あの出来事は実際にあったことでした
↑実際の映像はこちら(火災の翌日のこと)
↑当日のニュース映像はこちら(BBC)
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
本作は、実際にセットを組んで燃やし、俳優は本物の消防服を着用しました
クルーも火災状況に置かれて、スタッフも摂氏700度に耐えられる特別な対価スーツを着用していました
大変だったのは、大聖堂のパーツを用意することで、火災の発火にはプロパンガスが使用され、パイプを通して引火させたとのこと
揮発性の高いものが狭いセットの中を通るということで、細心の注意が払われたとされています
本作における火災は「人災」で、老朽化した建物の火災リスクに対して、対応が甘すぎるところが随所に見られています
修復作業員のタバコの持ち込み、火災報知器の連動不良、給水管の老朽化の放置など
また、聖遺物の救出に関しても、鍵が現場から離れるという事態があり、ロラン・プラドさん(実在の人物だそうです)が現場にすぐに入れないなど、消防と警察の連携もうまく取れていません
火災の後にどれだけの考察が試みられたかわかりませんが、火災はタバコの不始末もしくは電気系統のトラブルと位置付けられています
7本ほどのタバコの吸い殻が発見された、なんて話も出てきています
個人的には、一度だけ実家でボヤ騒ぎがあって、台所が半焼する火事に見舞われたことがあります
その時は天ぷら油の火が引火したそうで、授業中(小学校4年くらいかな)だった私は呼び出されて帰宅させられた思い出があります
運よくケガ人はゼロでしたが、当分の間、2階部分に上がれませんでしたね
また、結婚後に住んだマンションにて、別棟の1階部分から火災が発生したこともありました
ちょうど空から見るとL字型になっている建物で、別の棟で火事があったのですね
その時は夫婦共々家におらず、帰ってきたら消防車とか警察とかがわんさかいて、規制線が張られていました
人生において、最初で最後の「本物の規制線をくぐる」という体験をしました
今では火災報知器の設置が義務付けられていて、定期的に消防署から見回りがきますね
ネットで買って、2箇所に設置していて、一度だけ鳴らしたことがあります
炒め物で油が飛んで煙が充満して反応しましたね
その他にも、一度料理中にドアロックを喰らってしまい、裏庭から窓を叩き割って中に入るという経験もしました
二層構造の畳一畳分ぐらいの大きなガラスを粉砕することになって、修理代がめっちゃ高かった記憶があります
フライパンが使えないぐらいに燃えていて、火事にならなかったのが幸いでしたね
ヒューマンエラーはどこでも起こり得ることなので、皆さんも気をつけて、特に古い配線やタップなどは定期的に掃除をして、見えるところに設置する(家具などで隠さない)ようにした方が良いと思います
■関連リンク
Yahoo!映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://movies.yahoo.co.jp/movie/387167/review/8df86be4-8c57-4afe-a041-ed00efee3b48/
公式HP:
