■ホーンテッド・マンション
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■オススメ度
ディズニー・アトラクションのファンの人(★★★)
■公式予告編
https://youtu.be/gOnOgEe2HkI?si=YI0gY7URsbaviHec
鑑賞日:2023.9.14(イオンシネマ久御山)
■映画情報
原題:Haunted Mansion(幽霊屋敷)
情報:2023年、アメリカ、122分、G
ジャンル:いわくつきの幽霊屋敷の除霊を任されたツアーガイドを描くホラー&コメディ
監督:ジャスティン・シミエン
脚本:ケイティ・ディポルド
原作:ディズニーランドのアトラクション『ホーンテッド・マンション』
キャスト:
ラキース・スタンフィールド/LaKeith Stanfield(ベン・マサイアス:幽霊を信じないツアーガイド、元科学者)
Charity Jordan(アリッサ:ベンの亡き恋人、元ツアーガイド)
ロザリオ・ドーソン/Rosario Dawson(ギャビー:ニューオリンズに引っ越してくるシングルマザーの医師)
チャイス・W・ディロン/Chase W. Dillon(トラヴィス:ギャビーの息子)
Terence Mathews II(トラヴィスのお父さんの声)
オーウェン・ウィルソン/Owen Wilson(ケント神父:除霊を任される神父)
ティファニー・ハディッシュ/Tiffany Haddish(ハリエット:ガチの霊媒師)
ダニー・デヴィート/Danny DeVito(ブルース・デイヴィス:「Tulane University」の歴史学者の教授)
ジェイミー・リー・カーティス/Jamie Lee Curtis(マダム・レオタ:水晶玉の中に現れる降霊術師)
Daniel Levy(ヴィック:エンターテイメント・ツアーガイド、クランプ邸の管理人)
Winona Ryder(パット:ニューオーリンズのクランプ邸のツアーガイド)
J.R. Adduci(ウィリアム・グレイシー:クレイシー家の主人)
Erika Coleman(エレノア・グレイシー:ウィリアムの妻)
【ゴースト】
ジャレット・レト/Jared Leto(アリステア・クランプ/ハットボックスゴースト:怪奇現象を起こす謎の亡霊)
Creek Wilson(マリナーゴースト)
Ben Bladon(手に斧を持ったゴースト)
Lindsay Lamb(花嫁ゴースト)
Fedor Steer(エルザ:ヒッチハイクゴースト)
Terence Rosemore(フィニアス:ヒッチハイクゴースト)
Mike Benitez(ガス:ヒッチハイクゴースト)
Bryan McClure(首なし騎士のゴースト)
Don Stallings(ベネチアンゴースト)
Ashley John(青い服のゴースト)
Rick Andosca(世話人ゴースト)
Chad Crumley(決闘するゴースト)
Sebastien Soudais(決闘するゴースト)
John Curran(ピッチウィック:大広間の太ったゴースト)
Tracy Goode(死刑執行人ゴースト)
Kamran Shaikh(アレクサンダー・ニトロコフ:ダイナマイトの樽に乗っている中年のゴースト)
Helene Henry(綱渡り少女のゴースト)
Jared Simon(流砂の帽子をかぶったゴースト)
Joseph Miller(流砂のゴースト)
Ian Covell(流砂のゴースト)
Kay Galvin(アビゲイル・パトクリーバー:バラを持つ老婆のゴースト)
Anthony Burrell(アフリカの戦士のゴースト)
【人間】
Christopher Winchester(ハッピーニューイヤーを祝うバーテンダー)
Kathi Callahan(キャロル:旅行客)
Marilu Henner(キャロル:旅行客)
Hector Machado(ジョン:旅行客)
Steve Zissis(ロジャー:旅行客)
Glendon Hobgood(ベンの隣人)
Lorenzo Beronilla(火鉢のシェフ)
Hasan Minhaj(人相描きをする警察官)
■映画の舞台
アメリカ:ルイジアナ州
ニューオーリンズ
ロケ地:
アメリカ:ルイジアナ州
ニューオーリンズ
アメリカ:ジョージア州
アトランタ
■簡単なあらすじ
ニューヨークからD&D用のホテルを探しにきた医師のギャビーとその息子トラヴィスは、格安物件を手に入れることに成功した
古めかしい洋館は威厳を放つものの、どこか不気味で、電気も通っておらず、照明はロウソクの火だけだった
トラヴィスは怖がり逃げ出そうとするものの、母はなんとか宥めようとする
だが、甲冑が勝手に動き出したのをきっかけに、二人は一目散で屋敷から逃げ出してしまった
一方その頃、幽霊を信じないツアーガイドのベンは、亡き恋人の仕事を引き継いで、観光客を相手に遺跡巡りをしていた
彼は元科学者で、非科学的なものは一切信じておらず、観光客のテンションを下げるようなことばかり言ってしまう
ある日、彼の元にケント神父が現れ、かつてベンが開発した「非科学的なものを映し出せるカメラ」は必要だと言う
ベンはケントに連れられて来た屋敷は、ギャビーたちの屋敷だったが、彼女らはそこを逃げ出すことができなかった
その屋敷は足を踏み入れると、引き戻される性質があり、そこには1000人に達しようかと言うゴーストが棲んでいたのである
テーマ:悲しみの克服
裏テーマ:悲しみの理解
■ひとこと感想
ディズニーランド自体に行ったことがなく、『ジャングル・クルーズ』同様にネタ元がわからない状態で鑑賞
予告編で大体話が見えている作品で、巻き込まれ系のホラー映画になっていました
この配役なら必ず言われるだろうなあと言うほどにポリコレに偏りまくっていますが、個人的にはそこまで気になりませんでしたね
こういう世界なんだろうなあと思っておけば問題ないのだと思います
映画は亡き恋人のツアーガイドを継続している主人公が、幽霊屋敷の騒動に巻き込まれると言うもので、なんでツアーガイドをしているのかとか、突っ込んではいけない内容になっています
冒頭の引っ越し屋がどうなったのかとか、荷物はどうなったのかなどを気にしたら負けと言う内容になっていて、それよりはゴーストがそこまで出てこない前半が退屈で仕方なかったですね
後半もグダグダの展開で、そこまで新鮮味がある内容でもなかったと思います
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
基本的には、アトラクション体験がありきのイースターエッグを探す的な内容になっていて、乗ったことがない私としては、細かな引用は分かりませんでした
とは言え、映画内で必要な情報でもなく、風景に化しているのは配慮だったのかなと思いました
映画は、幽霊屋敷の謎を解くと言う感じに進みますが、場面展開を無理やり持ってくる内容で、警察署に行ったり、別の屋敷に行く意味があるのかは分かりませんでした
警察に行って似顔絵を描くと言う流れも、あの説明でわかるわけねえだろうと言うツッコミが入ってしまいます
物語としても、恋人を亡くしたベンが巻き込まれてヒーローになるみたいな感じですが、亡くなってからそこまで時間が経っていないようで、新しい関係に行くと言うこともなかったですね
みんなで集まって戦う展開は良かったと思いますが、メンバーを集める流れに無理矢理感が凄かったように思えました
■アトラクションはどんな感じ?
ホーンテッド・マンション(The Haunted Mansion)はディズニーランドにあるアトラクションの一つで、ダークライドアトラクション(誘導車に乗って特別なシーンを移動するタイプのアトラクション)のことを言います
1969年にディズニーランドに作られたアトラクションは、「ドゥームバギー」と呼ばれる車両に乗って様々な映像効果の中を進んでいくものでした
正面から屋敷の中に入り、そこでゴーストホストの声によって自己紹介がなされます
その後アートギャラリーに入るのですが、そこにいるのが「薔薇を持った年配の女性」「手に紙を持ったヒゲを生やした男性」「日傘を差した女性」「腕を組んだ男性」がいます
その後、ドゥームバギーに乗って動くという内容で、いろんな場所に案内されていきます
さすがに全部書くのはアレなので体験してもらった方が良いのですが、本作の映画内に登場するほとんどのゴーストと相対することになるというアトラクションになっています
なので、アトラクションで登場したゴーストを探してニヤニヤするというのが本作の醍醐味になっていて、各ゴーストの説明は割愛されています
ホーンテッドマンションは幽霊屋敷という意味があり、日本だと「お化け屋敷」に相当します
実在する幽霊屋敷には幽霊やゴーストが出るとされていて、その多くは悲劇的なことが起こって無人になっている、という設定があります
科学的な考証が行われても実証はできず、映画内に登場する「ゴーストが映るカメラ」というものは存在しません
それでも、過去を振り返ると「心霊写真」のような、何かが映り込んでいるという逸話はよく耳にします
ネガからデジタルに変わった途端に心霊写真は激減しましたが、それ以上を突っ込むのは野暮という感じになっています
■勝手にスクリプトドクター
本作は、どちらかと言えば酷評気味ですが、そこそこ観客誘導には成功している作品です
基本的には、アトラクション体験者がイースターエッグを探すタイプの作品なので、経験者と未経験者では評価が違うのは当然でしょう
未経験者で鑑賞に至る理由は様々でしょうが、ホラー映画という観点で参戦する人がアトラクションファンの次に多いと想像できます
個人的には雑食系で、公開映画はほぼ観るというスタンスなのでどこにも属しませんが、同じような「映画鑑賞」を主軸に置いて対象を決めないという人は一定数存在すると考えられます
アトラクション未経験者としての観点から言えば、ホラー映画としては怖くないし、ストーリー性も乏しいし、魅力的なキャラがほとんどいない(ゴーストは良かったが)という稀有な映画だったと思います
ホラー映画の怖さは「体験共有が起こるか」によりますが、ホーンテッドマンションは作り物のアトラクションなので、実話系よりも恐怖感は薄れてしまっていると言えます
ストーリー性の部分では、幽霊を信じない主人公が信じざるを得ないという流れになっていますが、それによって彼の変化が起こったかは微妙な感じになっています
元カノとの未練が消えるというのが第二の人生の始まりになりますが、それを行う必要性というものはそこまで感じません
そもそもが「意図しない巻き込まれ系」というところに物語の後退部分があり、それが前向きになるために無駄な時間が必要となってきます
また、事件を解決するために様々な人が巻き込まれていくのですが、それがほぼ行き当たりばったりのような感じになっていて、一つの目的と一人の人物というように、役割を当てはめただけになっているのも単調な要因になっています
彼らが集められた意図は物語の進行でしかなく、そこから先への深みがないのですね
それを絡めるには、マダム・レオタが封印された過去であるとか、グレイシー家と関わりがある(先祖とか)になると思うのですが、組み込み方を失敗すれば大火傷する設定のように思います
映画として、ベンが主人公である以上、彼の仮初の姿であるツアーガイドとギャビーが絡まないというのは意味不明のように思います
良質な脚本は、開始20分で全てのキャラが登場するのですが、本作のように別の場所にいる人物を別々に描写するというのは悪手なのですね
なので、ニューオーリンズに来たギャビー親子が屋敷に到着する前に街でベンと出会う、もしくは接近するというシークエンスになっていくと思います
そこで、フラグとしての「幽霊否定論者」の絡みがあって、そこから関係性が紡がれていきます
屋敷に入ると幽霊が追いかけてくるというものですが、ギャビーの顛末はおろか、ケント神父までスルーして、その説明をベンでするのもナンセンスでしょう
ポンポンとキャラを紹介しているつもりですが、その全てが分断されているので、運命共同体になっていく過程もざっくりしたものになっています
ギャビーは部外者で、幽霊がビジネスになっている街に来るのですが、それを軽く見ているという流れになり、そこでベンと同調するというのもありでしょう
屋敷にいく前にレストランかバーで出会って、その会話にケント神父が参加するなどの絡みがあれば良いのですが、ギャビーがケント神父に除霊を依頼する経緯とか、そのあたりを完全に排除しているのはどうかなと思いました
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
映画の本懐は、幽霊を信じない人が信じざるを得ないような体験をするというもので、そのためにグレイシー邸とクランプ邸が登場しています
ギャビーが屋敷の購入の際に「屋敷のことを全く調べていない」というのはナンセンスで、安さの理由ぐらいは調べるものだと思います
かつて旅行した際に「煌びやかなグレイシー邸」を見た感動があるとかで購入に至り、行ってみたらヤバいことになっているという方がとっかかりとしては良かったように思います
ベンは恋人を亡くしていますが、幽霊否定論者が幽霊の街でツアーガイドをしているという設定に無理があり、それよりは幽霊肯定者として関わっている方がスッキリするように思います
幽霊を信じない者が信じるという内容よりも、幽霊でもいいから会いたいと願う者が現実に戻る方が理に適っていて、その方向にいかないのは、アトラクションの否定にもつながるからだと考えられます
なので、最終的には「幽霊屋敷は怖いように思えるけど、実はそうでもない」という方向に向かうことになるのですね
幽霊達の過去を見て、地縛だけれども楽しく過ごせる場所がある
これがアトラクションベースの物語としては最適解のように思えます
幽霊を肯定するのが誰なのかで物語の設定や展開は変わると思いますが、ベンが恋人の死に囚われているという観点ならば、ベンは肯定論者でギャビーが否定論者になるというのが自然でしょう
ギャビーはベンを現実に引き戻す役割があって、それによって新しい人生へと向かうという流れになると思います
そこで、幽霊そのものを完全に排除するのではなく、共存することで、ホーンテッドマンションの存在意義が出てくると思うのですね
新しい観光名所として、ベンが客を誘致することになって、ガチの幽霊屋敷に足を踏み入れる観光客がいる
この流れこそが、ギャビーの目的も達成できるし、存在を否定することもなく物語を結べるのかな、と思いました
ゴーストのキャラクターたちは結構楽しい感じに仕上がっていて、それが見えるのは「信じているから」なのだと思うのですが、否定論者にも見えるということは「深層心理では否定していない」ということにつながるのだと思います
この体験は「感覚的には存在していてほしい」というものが具現化しているものであり、それを打ち消すことを主軸にしているので、恋人との再会と別れというものが物語のピークになります
恋人の成仏というものはホーンテッド・マンションの住人にとっては憧れのようなものなので、それを踏まえた上で「ホーンテッド・マンションの999人のゴーストを成仏させる」という使命を帯びても良かったかもしれません
幽霊を信じつつも、地縛から解放させる必要性は感じられるので、それが今後の物語に繋げて行けるのかな、と感じました
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
公式HP:
https://www.disney.co.jp/movie/hauntedmansion